ダニエルパウダーは本気のピアノマン。

ダニエルパウダーってか、ダニエルパウターはカナダ、バンクーバー郊外の育ち。バンクーバー近郊を旅行した人なら彼のノート(音)の由来がよくわかるはず。ダニエルパウダーの故郷は日本と同じように美しい四季に溢れる土地。やはりこういった土地は人間の芸術性を高めるのか、ダニエルパウダーはピアノの弾語りで一気にのし上がった。もともと楽譜を読めないから音大を退学するというエピソードの持ち主のダニエルパウダー。とても自由な発想でメロディ・歌詞・ピアノをあやつり、05年のデビュー直後から多くのメロディアスポップファンに支えられた。国境はまたぐけれども、同じような入り方をしたシンガーにビリージョエルを思い出す。バックグラウンドも違うし実はコンセプトもダニエルパウダーと違うのだけれど、なんぜか「心をピアノ弾語りでストレートに歌い込むスタイル」はダニエルパウダーと共通。少し疲れた心(70年代の東海岸もそうだった)に沁みるのだ。

ダニエルパウダー「Bad Day」は歌詞もメロディも時代を映した鏡。

ダニエルパウダーの「You Had a Bad Day」は一気に火がついて、おかげで日本での公演まで実現した。日本って国は面白い国で何でも訳す。で、ダニエルパウダーのこの曲についた訳が「ついてない日の応援歌」。もういい加減にしてって感じ。30年近くも洋楽を聴いてきたけれど、この日本洋楽翻訳文化には飽き飽きしている。というかダニエルパウダーの折角の歌詞、すごく心の核心をついた歌詞が一気にチープになっちゃうのだ。90年代、世紀変りあたりまでアメリカ・カナダは好況に沸いていた、それがダニエルパウダーのYou Had a Bad Dayの頃になると「皆が疲れだした」のだ。ITに、株取引に、社会全体のスピードの速さに疲れだした。そこに登場したのがダニエルパウダーの歌詞。誰にでも分かるような心のこもった歌詞とメロディが時代の閉塞感とマッチしたのだから弾けて当然。これを「ついてない日の・・」なんて訳されると、それだけでスーパーチープでダニエルパウダーが可哀想で仕方ない。

ダニエルパウダー、最初は欧州、続いてアメリカ。

ダニエルパウダーの歌詞は彼の社会を見抜く鋭い洞察力に裏付けられているのだけれど、そんな難しい話は気にせずに聞くのがいい。難しい事に疲れた人を癒す歌詞とメロディがダニエルパウダーの真骨頂なのだ。時に少しアップテンポに、基本はマッタリと絡むようなピアノマン、ダニエルパウダーの歌声が心に沁みるのを感じればいい。言葉が分かればベストだけれど、ピアノメロディだけでも十分。まずダニエルパウダーに飛びついたのはイギリス、ドイツ、イタリアなど、05年当時、いずれも「疲れた」国の人々。ダニエルパウダーの歌詞は、そんな疲れたヨーロッパの人の心を癒し元気付けた。若者から、ほぼ全年齢のリスナーを獲得したダニエルパウダー、次はどこに向かうのか。世界同時株安とか内戦、戦争などのニュースが絶えない今、ダニエルパウダーなりの反戦や望郷の歌詞でも作ってくれたらどんなに素晴らしい歌詞になるだろう。

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